ほんとうの日本経済_データが示す「これから起こること」/ 坂本貴志

 日本の社会は間違いなく 定常的な人手不足 へとむかう。しかし、安易に外国人労働者を大量に受け入れてしまうと、日本人の賃金は抑制される。そして、非効率企業の延命、過当競争の継続など、日本経済の高度化を妨げてしまうと著者は説いています。

 そうではなく、機械による自動化や、省力化など。本来の人間ならではの仕事を、さまざまな効率化と組合せ高度化すれば、賃金の上昇と市場供給力が向上して、非効率企業の退出による好循環 が進んでいくと予想しています。

 少子高齢化で日本経済が縮小するという、ダメダメ論だけではなく、世界の中で「少子高齢化のトップランナー」である日本が、世界に先駆けて好事例を達成することを望みたいものですね。

 本書では10の変化について触れています。

変化1 人口減少局面に入った日本経済
変化2 生産性は堅調も経済成長率は低迷
変化3 需要不足から供給制約へ
変化4 正規化が進む若年労働市場
変化5 賃金は上がり始めている
変化6 急速に減少する労働時間
変化7 労働参加率は主要国で最高水準に
変化8 膨張する医療・介護産業
変化9 能力増強のための投資から省人化投資へ
変化10 人件費高騰が引き起こすインフレーション

 私も会社を経営しているので、社会の動きや、これからの動向についてはいつも考えています。変化10の「人件費高騰が引き起こすインフレーション」は、これから顕著に現れるのでは無いかと思っています。

 私は昼食を外食する時が多いですが、1000円以下で済ませられる昼食が、ここ2年で劇的に減っている印象があります。原材料が上がっているのもあると思いますが、はたらく人を確保するのも大変になって来ているのでしょう。

 飲食業に限らず、それはどんな業界でも発生することでしょう。人がいなければ始まらない建設業も同等のことがいえます。外国人労働者が多く入っている業界ではありますが、これから何倍にも増えることは、都会ならまだしもこんな田舎では少し考えにくい。

 本書でも建設業について触れていましたが、仕事がなくて倒産するより、人が確保出来なくて倒産する会社 が多いだろう。そんな記述がありましたが、私もそれはとても感じていることでもあります。そんなことにならないよう、日々精進しようと思います。(笑)

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