農業が温暖化を解決する! 農業だからできること / 枝廣淳子

 久々に読むような気がする、農業系の本です。本書では「リジェネラティブ農業」についてとても詳しく書かれています。

 リジェネラティブ農業とは、日本語で「環境再生型農業」とも呼ばれ、農地の土壌をただ健康的に保つのではなく、土壌を修復・改善しながら自然環境の回復に繋げる農業です。

 土壌が健康であればあるほど多くの炭素を吸収するため、リジェネラティブ農業は気候変動を抑制するのに有用な手法だと考えられており、具体例としては、次のようなものが挙げられます。

不耕起栽培
 土を耕さずに農作物を栽培する方法。土を掘り起こさないことで土壌侵食が軽減され、有機物を多く含む豊かな土壌に戻り、空気中の炭素をより多く地中に留められるようにする。

被覆作物の活用
 主作物の休閑期に土壌浸食防止や雑草の抑制などを目的として、露出する地面を覆うように植物を植える。土壌有機物が増加し、土壌への炭素隔離が起きやすくなる。

輪作
 同じ土地で異なる作物を、一定の順序で周期的に変えて栽培。土の中の栄養素や微生物生態系がアンバランスになるのを防ぎ、炭素を土壌に留める健康な根っこを育てる。

合成肥料の不使用
 合成肥料ではなく有機肥料を使用し、土壌の健康を改善する。合成窒素肥料を使わないことで、農業における炭素の発生を抑える効果もある。

 実はワタクシ、だいぶ農業系の本を読んでいますので、全部知っていることではありましたが、本書で初めて知りとても驚嘆した数字がありました。(笑)

 著者は「バイオ炭」の普及に、だいぶ尽力している様子を紹介しています。炭は中が空洞でスカスカなので、微生物が入りやすく、農地に混ぜると良い土壌になるといわれていることは知っていましたが、こんな数字を紹介していました。

  バイオ炭 1g の 表面積 250〜500m2 スゴイ!! この数字を知れただけでも本書を読んだ甲斐がありました。

 少ない方の、250m2でも15.8m四方、500m2だと、22.3m四方もあります。バイオ炭は微生物でもミミズでも分解できないので、ようするに炭素を地中に閉じ込めてしまうわけです。

 地中から化石燃料を出して燃やせば二酸化炭素になるが、植物に吸収させそれを炭にして地中に戻す。ただ逆のことをしているだけだという例えをしていましたが、非常に納得できる説明でございました。

 ワタシが読んだ本の中で、今までで一番「バイオ炭」について書かれていると思うので、「バイオ炭」に興味がある人がどれくらいいるか知りませんが、そんな人に大変おすすめできる本書です。(笑)

 本書を読んで思い出した本があった。「土を育てる: 自然をよみがえらせる土壌革命 / ゲイブ・ブラウン」です。せっかくなので、また読み返してみようと思います。

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