真珠・ルビー・ダイヤモンド・猫目石・ムーンストーン・サファイア・ガーネット。7つの宝石を題名にした短編集になっています。
希望が見えたり、とてもダークだったり、ほっこりしたり、すっきりしたり。色々なテイストを楽しむことが出来た本書でありました。
一番おもしろかったのは「真珠」だろうか。たいてい短編集というのは最初のやつが面白いと相場が決まっているような気がします。
「たぬき顔のおばさん」と「ムーンスター」という会社のお客様相談室の男の話です。匂いフェチの私としては、とても共感ができる内容でした。笑
「ムーンスター」という社名は、前の実はもう外資に入って社名は変わっています。男がその会社に入ったのは「ムーンスター」の「マイルドフラワー」というシャンプーを使っている女と付き合い、その匂いが好きすぎて、会社に感謝し入社するという設定です。
たぬき顔のおばさんの方は「ムーンスター」の「ムーンラビットいちご味」という子供用歯磨き粉にハマり、人生を変えてくれたとまでいうような女です。
家庭が厳しく、甘いものはもちろん、いちごを食べたことがなかった。そこで初めて「ムーンラビットいちご味」を使用しハマります。初めてのキスもいちご味がすると言われたとか、たくさんのエピソードの中心は「ムーンラビットいちご味」です。
前述しましたが「ムースター」は外資に入り「ムーンラビットいちご味」の発売が中止されます。「ムーンラビットいちご味」が手に入らなくなった女は暴挙に出て警察に捕まりますが、実は昔「ムーンラビットいちご味」が原因で、もっとひどいことをしていた。そんなミステリーです。笑
「ムーンラビットいちご味」「ムーンラビットいちご味」「ムーンラビットいちご味」と何回も連呼される感じは、全然ストーリーは違いますが今村夏子さんの「むらさきのスカートの女」を思い出しました。笑
本書は短編集のせいもあるのか、湊かなえさんの「イヤミス」の世界はあまり感じませんでしたが、とても楽しめた本書でありました。
11月17冊目_2024年215冊目