石井紘基。2002年10月25日、自宅で迎えの車に乗ろうとしたところを、右翼団体の伊藤白水によって刺殺された。翌26日に警察に出頭し逮捕された伊藤。石井は国会議員や官僚の腐敗を徹底追及していたことから「暗殺された」との見方もあるという。
10月28日に予定されていた国会質問を前に、石井は「これで与党の連中がひっくり返る」と発言した。事件当日、石井の鞄には国会質問のために国会へ提出する書類が入っていたが、事件現場の鞄からは書類がなくなっており、いまだに発見されていない。一般会計の4倍相当の金額を有する特別会計について、質問予定だったとされていた。
本書を出した後すぐに暗殺された著者。利権財政・官制経済の闇を暴こうとした国会議員だった様です。ひとりで、とても調査し勉強を重ね、日本の闇を、炙り出している感じがひしひしと伝わってくる内容です。
その「闇」を公表されたら、非常にまずい権力者たちは、邪魔で仕方無かった。世の中から消えてほしい。そんなことを思う人はたくさんいるのだろう。そんな想像をさせてくれました。
公益社団法人や公益財団法人、独立行政法人など廃止するべきだという、そんな持論を繰り広げ「天下り」についてとても詳しく書かれています。官僚が天下りをして、数年で転職し数億とも言われる退職金を手にして行く。そんな人達が何万人もいるという。
官僚の退職金は1回のみとするうえで、退職後5年間は関係性のある公益法人などには、転職できなくすることを提案したが、国会では審議されることはなかったという。
公務員や国会議員の給料が高いとか、そんな話はよく聞くが「退職金を稼ぎ出すシステムが確率」しているので、それを根本的になくするべきだという。
日本には「ベルリンの壁」があるという持論を展開しています。貧困側にいる普通の国民と、富裕側にいる「官僚資本主義」の中にいる人といった感じでしょうか。官僚が作った「中間マージン」をせしめる仕組みが秀逸に出来上がっていることを、とても理解することが出来ました。
ベルリンの壁により、貧困側から富裕側の構造や仕組みは、見えないように隠されている。その壁を壊そうとして著者は暗殺されたのではないか。そんなことを考えさせてくれる本書でありました。
10月19冊目_2024年195冊目