あなたが車で人を殺す前に読む本 / しまむらまさじ


私たちの日常生活において他人を傷つけたり、

殺してしまう事態が起こり得る場合、

故意的な殺人を除いて、その原因は何があるだろうか。

私は建設屋なので建設重機などを仕事柄扱いますので、誤操作などによる可能性が無いわけではありませんが、 医師や電車の運転士、警察官や自衛官、または大きな機械を取り扱う特殊な職業の人くらいでしょうか。

しかし、車を運転する場合。

人を傷つけてしまったり、殺してしまう可能性がある。誰もが交通事故の被害者にも加害者にもなる可能性があり、その確率は高いです。

その確率を少しでも下げるために必要な知識を、現役バスの運転士である著者が、現場の目線から様々と解説した内容となっています。

どのような分野でもそうだと思いますが、実際に作業を行う現場の立場と、俯瞰した立ち位置から見た状況にはギャップが大きい。特にこの業界(運転手)は現場からのアウトプットがほぼ無いこともあり、とりわけ乖離が大きく感じると著者はいう。

その乖離を埋めるため、自らがアウトプット。バスの運転手が交通安全について本を書くという。それもKindle本にありがちな短い内容ではなく、それなりの文字数があるちゃんとした本になっています。

とても貴重な文献なのかもしれません。笑

事故の種類に始まり、確率のハナシ。

感情と操作の関係や、人間の元々もっている本能。

確認することの大事さと難しさ、その有効性。

キケンを察知して近づかない能力と培うための経験の蓄積。

交通規則の重要性と、してはならない行為。

そして最後に自動運転のススメと、これからの課題。

読んだあと、あらためて書いてあったことを書き出してみましたが、とても多岐にわたって書かれていることを再確認できました。

日常的にトラックを使用する仕事をしている私は、安全運転を指導する立場なので、本書で学んだことを少しでも生かしたいと思います。笑

著者も最後の方に書いていましたが「交通災害の犠牲者を減らしたい」「環境に優しい車」を世の中は求めているのに、車はどんどんハイパワーに進化するのか。電気自動車はどんどん高性能になるのか。

「交通法規を守れるエコな車」がなぜ出ない。

例えば、加速は普通で120kmしか出ないけど、航続距離のある電気乗車など。

私も全く同感です。

少し「市場経済主義」のヤミが見えたような気がします。笑

05 th in May / 110 th in 2023