「美食地質学」入門~和食と日本列島の素敵な関係 / 巽好幸

Facebookで紹介している人がおり、面白そうなので即ポチリ読んでみましたが、期待以上・・・面白すぎました。笑

マグマ学者である著者が、日本列島の形成された背景から現在の地形、その特性から生まれた食文化について、非常に興味深く語ってくれます。

軟水と硬水。

日本は軟水が多いとされているが硬水の地域も存在する。

水から生まれた京都の出汁文化。

沖縄ではなぜ豚文化なのか。

豆腐という進化した食品。

醤油の生まれた背景。

火山とそばの関係性。

関東ロームと東京野菜。

河がないから出来た讃岐うどんとか。

豊富で多様性のある海産物は、複雑な海底のなせる技だとか、

そしてワインと筆者が飲みすぎるという日本酒。笑

日本中には美味しいものが数多く存在します。

それらは特産物であることと、気候の影響は大きいとは思っていましたが、それより以前に日本という国土が形成された過程こそ、これほど全てに影響しているものなのか。そんなことをとても深く考えさせてくれる内容でありました。

地学は筆者の専門なので、詳しく記述されているのはよくわかりますが、「地学」と「食」をよくこれほど結びつけて考察出来るものだと、ただただ関心させられます。「食」の面についても、普段何気なく口にしている食物についても「これを書き出すと別の本を1冊書けるので、省略して・・・」と遠慮がちに書いていますが、結構知らないことが沢山あったりします。

富山湾はなぜ深くシロエビが採れるのか。

地球には水があるので、重い地盤は沈んで軽い地盤は浮くだとか。

京都は琵琶湖の水量に匹敵する地下水を湛えているだとか。

雑学的な発見もあったりと。笑

とてもおもしろく、そして勉強になりました。笑

前述しましたが筆者は頻繁に「飲みすぎてしまう」という言葉を使用しています。その分、食の美味しさがより伝わるのは当然ですが、酒好きの私としては、とても親近感を感じました。笑

そして不思議で素敵な表現がたまに登場します。

1つ思い出したものを書き留めておきたいと思います。

豆乳を固めるための「にがり」をこんな言葉で紹介していました。

「三次元的なネットワークの形成を促す役割を演ずる」

この様な本を読むと、普段何気なく食っているものにも様々な背景や歴史があることを痛感させられ、日常に感謝出来るようになることに加え、日本人で良かったと本当に思います。

そして今晩も筆者の様に飲みすぎる私でしょう。笑

加えて明日は、三次元的なネットワークが弱い排泄物が出ることでしょう。笑

27th in December / 373th in 2022