わざわざ遠い外国から輸入した石油や天然ガスなどの化石燃料を使ってつくる電気ではなく、身近にあふれている太陽光や風を使って発電したら、という発想は新しいものではない。
古くは里山の木々を薪と炭にして使った。
水車は昔からあるし、風車も第二次世界大戦後の北海道開拓で使われた。
著者は読売新聞の記者。
再生可能エネルギーをめぐり、あまりにも否定的な見方や考えを耳にすることが多かったこと。
加えて、固定価格買い取り制度を利用し太陽光発電などを進める業者は詐欺師であるかのように語られることも多かったこと。
それらが本を書いた動機になったという。
「地産地消」という言葉は、もともと食料自給の問題で使われることが多かったが、風力、太陽光、小水力など自然資源を使った「小さいエネルギー」。
自然の資源を使った地産地消型のエネルギーが利用されている5つの事例が紹介されています。
・新電力会社をつくった宮城県東松島市
・風力発電の秋田県庄内町
・木材チップバイオマスの岩手県柴波町
・電気自動車中古バッテリーで蓄電施設の鹿児島県甑島
・小水力の富山県五箇山、宇奈月温泉
現在主流であるとされるメガソーラーについて、地域が協力しても中央の大資本に旨味を吸い取られてしまう。大規模だからこそ、大資本が介入するのであれば、小規模で地産地消こそ、これからのニーズに合っているのでは無いか。
そして50年以上前から進む東京一極集中。
人は東京に集まるけれど、エネルギーは地方に依存する。
そんな図式を崩す突破口になるのでは無いか。
そんな事を考えさせられる。笑
本書を読んで一番感じたことは、フロントランナーは既存の規制との戦いだらけ。あたらしい事を始めようとすると、既存の法律や、否定し邪魔する人間が必ずと言っていいほど登場します。笑
ビジネスプラン以外に、尽力するべきことが多く、それらをクリアーしていく姿に非常に感銘できる、そんな内容でございました。
地方創生系の本を読むと必ず登場する、紫波のオガール。
FBの友人で、オガール近辺に住んでいる人が、
紫波のエコ住宅についてアピールしているのは見ていましたが(笑)
様々な本を読んでも、木質バイオマスに触れているのは見た記憶がなかった(笑)
そんなカラクリを知れたことは、とても有意義でありました。
紫波の取り組みで、軽トラで間伐材を提供してくれた人に、紫波町内で使える5000円のクーポン券とガソリン代1000円を支給する仕組みがあると言う。
宮古市にも何年か前に、木を燃やして発電すると言う施設が出来た。
個人的見解ではありますが、一見環境に優しい印象がありますが、
発電所近辺に集積された丸太を見ると、
これを全部燃やすことが、環境に良いことなのか。いつも思う。
反して、その発電所に木材を提供した隣地にはたくさんの木材が残っている。
間伐事業も展開されているが、間伐材はほぼ山に放置される。
本書でも「山では余り、里では足りない木材」そんな表現がある。
事業として成り立たなくても、個人の小遣い稼ぎレベルで、山の有効利用されない資源をエネルギーに変える仕組みはどんどん注目されるべきでは無いのか。
そんな事を考えさせられる。
本書が発売されたのが2017年。年数も立つので現在では色々と変化したものは多いとは思いますが、大変勉強になりました。
24th in July / 204th in 2022