告白 / 湊かなえ


 湊かなえさんの本は「母性」を読んで先日「落日」を読みました。率直な感想は「おみごとです!」そのコメントに、Instagramでも同調してくれた人がいたくらい、本当に「おみごと」でした。笑

 せっかくなので、著者のルーツを探ろうと思いAudibleで見つけたので聞いてみました。「落日」よりは、わかりやすい内容でありますが、それは語り方に特徴があるからです。

 ほぼ、同じ時系列のストーリーを、5人の言葉で6回「告白」という形で語られます。娘を殺された森口先生から始まり、クラス委員長、 少年Bの母親、 少年B自身、 少年Aと続き、最後は森口先生で終わります。

 6つの「告白」はストーリーが、ほぼ同じなので、最初を理解すれば自ずと頭に入って来ます。各人の行動や心情の変化など、とても詳細に語られていますが、それが他の人の告白と絡み合っていて、本当にこれも「おみごと」です。笑 こんなストーリーです。

 1年B組。3学期の終業式の日、担任・森口悠子は生徒たちに、間もなく自分が教師を辞めることを告げる。原因は「あのことか?」と生徒から質問が飛ぶ。数か月前、学校のプールで彼女の一人娘が死んだのだ。森口は、娘は事故死と判断されたが本当はこのクラスの生徒2人に殺されたのだと、犯人である少年「A」と「B」を告発し、警察に言うつもりはないが、彼らには既に恐ろしい復讐を仕掛けたと宣告して去っていく。(※WIKIより)

 告白の語り手が変わるたび、事件の新たな側面に触れることが出来るような、とてもスリリングな展開を堪能することが出来ました。著者が登場人物になりきって書いたという、各人物の緻密な心の動きや、友人関係や親子関係の想像を超えるこじれ具合。真に迫った心理描写もおみごとです。

 皆さんは「イヤミス」という言葉をご存知でしょうか。「読んだ後に嫌な気持ちになるミステリー小説」のことをいうんですが、著者は「イヤミスの三大女王」と言われています。

 人間の心の内を巧みに表現する「湊かなえ」、狂気に満ちた世界観の「沼田まほかる」、妙にリアルに感じるイヤミスの「真梨幸子」だそうです。


 「人間の心の内を巧みに表現する」とは、とても的を得た表現だと思います。過去にハマった小説家は何人かいます。今村夏子、喜多川泰、垣谷美雨、森沢明夫、南杏子。それ以外にも何人かいますが、読み込んだといえるのはこの5人です。湊かなえを6人目に決めまし

た。本書を含めてまだ3冊しか読んでいませんが、すべて読破しようと思います。笑

 本書はAudibleで聞きましたが、最後に付録で著者の湊かなえさんと、朗読者の橋本愛さんの対談が収録されています。二人の間で盛り上がっていた話題がありました。「読書をしたことを書き留めるのはとっていい!」

 橋本愛さんは「あまちゃんの相棒」程度の認識でしたが、この付録の対談で二人に褒められているようで、橋本愛さんのファンになりました。この付録を聞くだけで価値があると思います。そして、私もそうだったように、湊かなえさんの声の印象にギャップを覚えることでしょう。笑

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