JAが変われば日本の農業は強くなる / 杉浦宣彦


 2015年刊行なので少し古めの印象は隠せませんが、私は「JA=悪の組織」という、そんなイメージを受ける本を何冊か読んでいたせいか、少しJAを見直させてくれる内容でありました。

 政治と結びついた既得権益「悪玉論」は本当なのか。6次産業化した農業が、日本の明日を変えるという。

 農村票を武器に、戦後最大の圧力団体といわれてきた農協の改革。なぜ、この時期で、何が問題なのか。

 日本の農業競争力を弱体化させた悪者なのか、それとも、TPPをも含めた食の安心・安全の守護者なのか。

 60年ぶりの「農協法改正」を政治的パフォーマンスで終わらせてはならない。たんなる組織改編に終わることなく、後継者育成の仕組みをつくり、新産業としての農業を創造するのはいまだという。

 私たちの食卓と、農業・農協は不可分であり、改革の影響は少なくない。農協は、一部の産業に従事する人たちだけの組合ではなく、食と生活を支える国民的な組織に生まれ変わる必要がある。

 著者は次のような言葉で締めています。

 この改革をいい方向に持っていくためには、読者のみなさん、とりわけ消費者のみなさんはまず農業と農協と自分の家の食卓に上る食事は不可分のもので、それは常につながっていると考え、自分の問題としてこの農協改革の問題を捉えてください。 そして、消費者の視点から食物について厳しい視線を送り、農業界全体に刺激を与え続けることが、本当の意味での農業改革、農協改革になることを意識してもらえればと思います。

 私も最近「食」や「農」に関する本を何冊か読んでいます。そして思うことは、政治や経済がどうのこうのとか、会社や団体が良いとか悪いとか。ここの店は美味しいとか不味いとか別にどうでも良いのでは無いかと思う。

 著者の言葉をかりれば「消費者の視点から食物について厳しい視線」を持つことこそ大事なのではないか。口にいれるすべてのものが、どこで誰が作って、誰がどのように加工し、どうやって自分の口に入ったか。わかる人なの、山奥で一人暮らししている仙人のような人しかいないことだろう。

 野菜は健康にいいから多く摂取する。そんな言葉をよく耳にする。しかし、野菜にどんな薬が含まれているかわからない。鶏糞や牛糞の堆肥だけの「有機で無農薬だから大丈夫」といっても、鶏や牛が何を食っているのかわからない。

 知れば知るほど、世の中は怖い食い物だらけではないのか。いつもそんなことを思う。そして最大に怖いことは、不安全なものでも圧力で「安全と報道するメディア」がいると言うことです。笑

6月14冊目_2024年129冊目