水道民営化で水はどうなるのか / 橋本淳司

宮城県の水道事業の運営主体が2022年4月から民間企業に切り替わった。飲料水などに使う上水道で導入されるのは全国初の試みのようです。そんなこともあり、興味が出てきた「水道民営化」

なにか勉強できればと読んでみました。残念ながら、本書が発刊されたのは、最近ですが引用しているものが古いため、宮城県のことには触れていませんでした。

普段当たり前の様に使用している「水道」というインフラについて、とても考えさせられる内容です。現在行われている公営では、職員の減少、施設の老朽化。何より人口減少 により料金収入が減って来るのでたち行かなくなるという。

水道管を繋げれば、いつまでも使えると言うものではありません。取水施設、貯水施設、導水施設、 浄水施設、送水施設及び配水施設。特に取水施設と浄水施設はメンテナンスが欠かせません。

メンテナンスに加え、水道料金の徴収にも、検針や事務作業などのコストが掛かっているわけで、それを水道料金だけでまかない、更に頻繁に各所で起きる、送水施設と配水施設の破損など。それを直す費用も本来は水道料金で賄わなければなりません。

しかし、人口が減れば水道料金という収入は必然と下がっていく。出ていくお金が同じなのに、入ってくるお金が減って行く。必然的に水道料金は上げなければならない。そんな仕組みは冷静に考えれば誰でもわかります。

そんな中、本書では岩手県の事例が3つも紹介されていました。

1つ目は「岩手中部水道企業団」

2014年に設立され、北上市、花巻市、紫波町 の水道事業を統括し、広域化しダウンサイジングした事例が紹介されています。従来の各自治体の人事異動による配置では、専門的な技術や知識が蓄積されないため、前述した3つの自治体から人材を募り、62人が退職して企業団に転職したという。そして施設の集約や効率化に成果を出している実績など紹介されています。

2つ目は「矢巾町 のワークショップ」

2009年から「納得して水道料金を支払う意識を持ってもらう、町民との関係が必要」そんな目的で、ワークショップを開催しているという。町民から一般公募し「水道サポーター」を募り、施設を更新しないリスクや、その対策をオープンにして将来を考えることを目的としたという。

町民の意見は「高い」「塩素臭い」関心は美味しさと安さしか無い。しかし伝えたいことは維持管理の大切さ。ワークショップの回数を重ねるごと、当たり前では無い。苦労を知った。大切に使いたい。そんな認識の変化から「多少の値上げもやむを得ない」そんな風に思う人が多くなったという。

3つ目は「米内浄水場」

私はまだ訪れたことはありませんが、桜の名所として有名な米内浄水場。浄水施設のランニングコストについて触れている箇所で、盛岡の事例が紹介されていました。

ろ過方式には2つあり、「急速ろ過」と「緩速ろ過」がある。「急速」にはろ過にコストが掛かるが、「緩速ろ過」には初期投資がかかるが、作れば長い期間使え続けるとあげた事例で紹介されていたのが、1934年から稼働している、盛岡市最古の「米内浄水場」クセでwikiで調べたら、登録有形文化財に登録されているらしい。私が小6から高3まで住んでいた 松園は、ここから水が来ていたらしい。笑

私は建設業をしているので、水道施設について。普通の人より詳しいと思う。笑 確かに、#宮古市 は県内でもとても水資源に恵まれている地域です。しかし、このインフラを当たり前と思うべきでは無い。そんなことを再認識させてくれる1冊でありました。

何の本で読んだか忘れましたが、日本には「湯水のように使う」という、無尽蔵に使えるあるものを扱うときに比喩する言葉がある。こんな言葉があるのは日本だけだという。

皆さん、水に感謝しましょうね。笑

20 th in January / 20 th in 2023