旧大蔵省の官僚だった筆者。
現役だったとき政府のバランスシート(貸借対照表)を作ってみると、それほど国の財政状況は悪くないことが分かったという。
税金を国民から集める権利を持つことと、日銀の保有国債を合算すれば、資産が負債を上回る。
財政の本質は今も変わらず、資産といっても、土地や建物などの有形固定資産は全資産の2割にも満たない程度で、大半は売却容易な金融資産。
その金融資産は政府関係機関への出資・貸付金などの資金提供。
筆者は当時の上司に、政府のバランスシート(つまり日本の財政)はそれほど悪くないことを伝えた。
もし借金を返済する必要があるというのであれば、まずは資産を売却すればいいのではないか。そんな風にいうと、
「それでは天下りができなくなってしまう。資産を温存したうえで、増税で借金を返す理論武装をしろ」と言われたという。
簡単に書くとこんな感じでしょうか。
財務省は「お金がない」「家計が苦しい」と洗脳し増税しましょうと働きかける。
少ないお金をあなたにやるんだよ。感謝しなさいね。
見返りもお願いします。笑
こんど、○○○したいので、貯金を少し下ろして使ってもいいですか。
貯金は使わないで「○○○税」をみんなからカンパしてもらいましょう。
単純に言えばこんな感じでしょうか。
気になる記述が有りました。
増税するときは、必ずといっていいほど「例外措置」が設けられる。最近でいえば新聞の軽減税率などがわかりやすい。一律増税ではなく、ケース・バイ・ケースで税が軽減されたり、特定の業界を増税の例外にするなどの優遇措置がとられる。たとえば2014年に消費税を5%から8%に増税したときは軽減税率が議論され、10%への増税の際もキャッシュレス決済なら中小店舗で5%、大規模チェーン店などで2%のポイント還元が期間限定で実施されるなどした。
実はどういう例外措置が設けられるかは財務省のさじ加減だ。例外措置を設けるためにもっともらしい理屈をつけるが、実はこの業界を特例扱いすればこんな利益があるだろうという計算が裏で働いている。その業界への天下り先の確保につながるからだ。
そんなカラクリがあったとは全く知りませんでした。
天下り恐るべしですね。笑
財務省の権力のは、警察権力と並ぶ税務権力。
この税務権力で制裁されるため、新聞やテレビは財務省の悪口など絶対触れないのだという。
政治学や社会学では、軍事力や警察権力は「暴力装置」と呼ばれる。税務権力はこの暴力装置から外されることも多いが、暴力装置に含まれると著者は説く。
私もこんな本の感想を書いて、税務権力に制裁を加えられたらどうしましょう。笑
大変勉強になりました。
14th in July / 194th in 2022