ある盗撮加害者は、こう証言したという。盗撮とは、相手に気づかれないように、日記を盗み見る行為。その優越感は、日常生活では絶対に味わえない。そして画像や動画を保存することで、支配欲や所有欲が満たされる。
検挙件数がこの10年で倍増している、痴漢と並ぶ日本の2大性犯罪になった「盗撮」。そんな盗撮は薬物やアルコールと同じく、やめたくてもやめられない「依存症」だという。アルコール依存症の私は、他人ごととは思えないくらい、真剣に読ませていただきました。(笑)
アジア最大規模の盗聴依存症治療施設で、これまでに2000人以上の性犯罪加害者治療に携わってきた専門家である著者が、その手口や心理、治療方法など、盗撮加害者521人の大規模ヒアリング調査で見えてきた「盗撮依存」の実態について、詳細に語られています。
「パラフィリア障害」について触れていました。パラフィリアとは、性的興奮を伴う極端な空想や行動が、無生物、小児、または同意のない成人を対象として、あるいは自分自身またはパートナーに苦痛や屈辱を与える性質をもって、常習的にみられる状態です。
女性自身に興味や性欲があるというよりは「盗聴」という行為に対して欲望を持ち、撮影した画像や映像でマスターベーションするものもいれば、すぐ消す加害者もいる。保存することで、被害者に優越感を持つものさえいる。覚醒剤やアルコールのように「依存症治療施設」があるのもびっくりしたが、そこに通っている元加害者の声も非常に生々しい。
何年も治療施設に通う元加害者は、「治ったのではなく、盗聴しないのを続けているだけ」と、いうように、盗聴に関する欲望はなくなっておらず、いつ何時、あるきっかけでトリガーを引くかもしれない、そんな恐怖と隣り合わせなのだという。
アルコール依存症の治療施設や、覚醒剤の治療施設の本は何冊か読んでいますが、まさに全く同じ様相を感じさせてくれました。
取り締まるための法律は特に存在しない。条例で定められている程度あるため、刑罰は軽く、被害者が被害に気づかないことが多いので、事件になるのは氷山の一角に過ぎない。検挙した加害者を調べると、1人あたり推定1000回以上の余罪がある計算になるという。
そして刑罰も軽いせいか、再犯率は4割近くあり、再犯を防ぐのは難しい。盗撮を直接取り締まる法律はないため、法制化が議論に上がっているとのことですが、私は軽い気持ちで本書を手に取りましたが、私が思っている何倍もヒドイことになっている印象です。誰でもいいので、まともな国会議員の皆さん、議員立法してあげてください。こんど、総務会長に会う時があったら、直接お願いしてみようと思います。(笑)