ミスタードラゴンズの失敗 / 江本孟紀

 2022年に中日ドラゴンズの監督に就任した立浪和義。落合監督のあと、長らく続く低迷を打破すべく、大きな期待を背負っての船出。しかし、多くのファンの期待とは裏腹に3年連続で最下位に沈み退任を表明。

 現役時代には「ミスタードラゴンズ」と呼ばれ、カリスマ扱いされていた立浪は、なぜ監督として成功しなかったのか。本書は、その理由を野球解説者の江本孟紀氏が考察している一冊です。

 世代は異なるものの、共演経験のある立浪氏の3年間に対して思うところがあったという著者。同時期に就任した北海道日本ハムの新庄剛志監督との比較や、星野仙一氏や落合博満氏といったドラゴンズのレジェンド監督から「学ぶべきだったこと」、さらには球団の未来についてまで忖度一切なしで語りつくしています。

 私はまだ立浪はPL学園時代から知っていますが、1998年、プロ入り後の開幕戦でも先発「2番・遊撃手」でフルイニング出場は、高卒新人としては球団史上唯一であり、開幕戦先発出場を果たしたセ・リーグ高卒新人は、1957年の並木輝男(阪神)と、1959年の王貞治(巨人)以来29年ぶり3人目だという。新人王を獲得し、高卒新人として史上初めてゴールデングラブ賞を獲得。通算2480安打、歴代1位となる487二塁打など、輝かしい経歴の持ち主です。

 著者は野球解説者として長年一緒に仕事をし、人間的な部分をよく知っているからこそ、「監督を育てるのは監督」であり、「名監督になる人は名監督の下で学ぶ」ことの大切さを説き、厳しい言葉も浴びせていますが、今度は名監督としてまた球会に戻って来て欲しいとエールも送っています。

 wikiで少し調べたら「小学校2年生の時に両親が離婚し、これ以降は母親の元で2歳年上の兄とともに育てられていた」と書かれていた。先日読んだ「アルプス席の母/早見和真」を思い出し、お母さんは大変だったんだろうなぁ〜と、そんなことを思う。(笑)

 また「嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか/鈴木忠平」で、落合が立浪に印籠を渡すようなエピソードが描かれていたが、指導者になる将来を据えて、もっと落合から学ぶことが出来ていれば。立浪本人もそんなこと悔いているのでは無いかとも思う。

 こうやって、読んだ本と本とが結びつく時、なんとなくでも本の内容も思い出せるし、こんなことがあるので多読読書は楽しいものです。(笑)