死んだ山田と教室 / 金子玲介

 2025年 第22回 本屋大賞ノミネート作品。大賞は読了済みの「カフネ/阿部暁子」でしたが、本書は9位の作品です。2位の「アルプス席の母/早見和真」、10位の「成瀬は信じた道をいく/宮島未奈」も読了済みなので、2025年 第22回 本屋大賞ノミネート作品は本書で4冊目となります。

 夏休みが終わる直前、山田が死んだ。飲酒運転の車に轢かれた。山田は勉強が出来て、面白くて、誰にでも優しい、二年E組の人気者だった。二学期初日の教室。悲しみに沈むクラスを元気づけようと担任の花浦が席替えを提案したタイミングで教室のスピーカーから山田の声が聞こえてきた。

 教室は騒然となった。山田の魂はどうやらスピーカーに憑依してしまったらしい。〈俺、二年E組が大好きなんで〉。声だけになった山田と、二年E組の仲間たちの不思議な日々がはじまる。

 設定は少しくだらないような気がしましたが、山田の中学生時代は案外陰キャだったことが分かったり、同級生が卒業しても、山田は教室から消えることが無い、寂しい状況になるという、そんな少し笑える感じがなんとも言いようがありません。(笑)

 猫を助けようとして、飲酒運転の車に引かれて死ぬという設定なんですが、最後の方にはそうでなかったという種明かしがあります。結末が全く予想できない展開でしたが、とても不思議な終わり方でございました。

 男子高校という設定なんですが、本書で描かれている生徒同士のやり取りを読んで、私も岩手高校の卒業生なので、男子高校特有のふざけっぷりや雰囲気は、青春時代を少し思い出させていただきました。

 設定はとてもふざけた感じですが「生と死」について、十分考えさせてくれるそんな一冊でございました。

5月11冊目_2025年131冊目