頭がよくなる思考術/白取春彦

 『超訳ニーチェの言葉』の著者 が古今東西の哲学書、啓蒙書にしるされた賢人たちの貴重な知恵をもとに、より良い思考の方法が数多く紹介された本書です。

 多くの賢人たちが辿りついた思考スタイルをわかりやすい文章で学べる「考え方バイブル」といった感じでしょうか。

①「答えを出せる」頭をつくる
②「迷わない」頭をつくる
③「楽しく生きる」頭をつくる
④「クリアな」頭をつくる
⑤「創造する」頭をつくる

 5つの大項目で55の詳細な思考術が紹介されています。気になった2つを紹介したいと思います。

心配は悪と心得よ

 悪いことをあれこれと想像していったい何になるだろうか。心配することは相手を助けることではない。しかし、心配する人は自分が心配しているというだけで、相手を世話した気になっている。心配がまるで優しさのように勘違いをしている。
 自分の妄想と遊んでいるだけではないのか。心配癖は相手を信用していない人である。うまくやれないと決めつけて、起こり得る悪いことを想像しているだけ。
 実際に心配していることが起こると「やっぱり心配したとおりだった」と小さな喜びを覚える。心配することが大事という人とは親しくすべきでは無い。
 ”心配は悪”という言葉はなかなか新鮮です。確かに悪のイメージトレーニングを押し付け、ネガティブを押し付ける行動なのかもしれない。

やさしさを持て

 娯楽用に書かれた本ではなく、まとまった主張や思想を書いた本は、正確のきつい人間のようなもの。読むということは、そういう人間と付き合うということと同じ。とりあえず受け入れなければ相手を理解することが出来ない。それは自分に優しさ、寛容さがなければ出来ない。だから、私は本を読まない人に恐ろしさを感じる。
 本を読まない人は他人を理解しようとしていない。理解できるのは、損得や利害、数字だけでは無いかと疑う。自分の価値観をそっくり棚上げして異質の本を読むならば、やさしさのかけらをを獲得出来るだろう。それが積み重なって行けば人間性が変わって行くのは確か。
 私も本をよく読むようになってから、「無知」が自分の気持をイライラさせていた原因だったと気づいたり、「無知」による #自己嫌悪 が自分を謙虚にさせてくれたりするようなことは体感しています。
 読んでも読んでも全然すすまない本も、日が経ってから読んでみると、案外すんなり入って来て、面白かったりする。これが、やさしくなった証拠なのかもしれません。

 ニーチェ は名前を知らない人がいないくらい有名人ですが、関連本を読んだことがありません。本書はたくさんの学びを得ることが出来たので、著者の『超訳ニーチェの言葉』もいつか読んでみたいと思います。

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