病気のステージといえば、想像するのはガンの「ステージ◯◯」ですが、本書は人生のステージと病状のステージ。そして様々なステージに希望を持って登壇する演者達をサポートするという、南杏子さんお決まりの、主人公は女医さんです。
舞台に立たせてあげるため、寄り添い市民会館で出演者の医療サポートをする女医の姿を、現役の医師が描く医療小説です。
医療事故をきっかけに都心の大病院を飛び出した女医・菜々子は、兄が経営する東京近郊の個人病院で働き始める。
それから間もなく、中学時代の同級生に誘われ地元の市民会館で、ステージに立つ出演者たちの医療サポートを請け負うことになってしまう。
──命を削ってでも市民会館の舞台に立とうとする患者たちは、末期癌であったり、白血病であったり、歩行困難者であったりとさまざま。
現役の医者が身近な設定で、現代の超高齢社会と高度医療のありようを直視する連作短編集です。
はたして、こんなことを献身的にしているお医者さんが、世の中にいるのかどうかはわかりませんが「病気」や「障害」を克服して「ステージ」に登壇することにより、患者たちが勇気や自信を得て行く様子は、健常者の私としては、とても考えさせられてくれる内容です。
「小山田さん」という妻が痴呆の老人が出て来ます。Audibleで聞いたのですが、何度も「小山田さん」「小山田さん」と言われて、自分が老人になったのではないかという錯覚がありました。笑
本書で何回も出てくる「絶対なんて嘘だった」という言葉。この言葉を思い出せれば、本書の内容は大体思い出せると思うので、アウトプットしておきます。
本書を読んで、自分の健康にとても感謝することが出来たので、不摂生な自分に対して、ぺんこ反省し、少し酒や煙草を控え、新しいステージに挑戦できる老人になりたいものですね。笑
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