本書を最初に読んだのは2021年5月と3年半も前ですが、とても涙させてくれたのを覚えています。女の子が死ぬ直前に「海に行きたい」そんな希望を叶えるため「千里浜なぎさドライブウェイ」に行くシーンをよく覚えている。
本作は映画化もされ、予告編ではよくそのシーンを紹介していますが、それを見るだけで涙できるほど感激させていただきました。
ぶっちゃけ映画は見ていませんが、予告編を見る範囲では少し原作とは違う印象です。原作を読んで映画を見るのもいいですが、原作の素晴らしさを自分の心に収める意味を込めて、映画は見ないでおこうと思います。笑
最近著者の「いのちの十字架」を読みました。アウトプットを書こうと思い、いろいろ調べていたら、本書の続編という扱いだったので、久しぶりに読まないと。そんな使命感から手に取りました。
そして3年半ぶりですが・・・涙、ナミダ、なみだ・・・撃沈しました。笑
ストーリーはこんな感じです。
第一線で活躍してきた救命救急医の白石咲和子は、長年勤めた大学病院から実家のある金沢へと戻り、在宅医療を通して患者をケアする「まほろば診療所」に勤めることになる。これまでの救命救急とは異なる命との向き合い方に戸惑う咲和子だったが、院長や看護師、咲和子を追って診療所へやってきた元大学病院職員など周囲のスタッフに支えられながら、在宅医療だからこそできる患者や家族との接し方を見いだしていく。
長年勤めた大学病院を辞めるきっかけになったのは、「診療所へやってきた元大学病院職員」のヘマが原因で辞めさせられたに等しく、そのヘマした「元大学病院職員」が「いのちの十字架」の主人公になっています。
「いのちの十字架」を読んだら絶対「いのちの停車場」を読みたくなると思うし、その逆もあるでしょう。
第一線で活躍してきた救命救急医から、田舎の訪問医になるという設定もとても良いのかもしれません。
南杏子さんの本は何冊か読んでいますが、全部医療系の小説です。そして医療のことについてとても詳細に書かれています。
南杏子さんは25歳で結婚し、夫の転勤に伴ってイギリスへ転居。外国での出産を経験。帰国後、乳幼児の病気を取材し記事を執筆した経験などから「もっと知りたい」と一念発起して、33歳、長女が2歳の時に東海大学医学部に学士編入。卒業後、東京都内の大学病院老年内科などで勤務した後、スイスへ転居。スイス医療福祉互助会顧問医などを務め、帰国後、都内の終末期医療専門病院に内科医として勤務。
本物の終末期医療専門医なので、書ける小説なのでしょう。夫に伴って通い始めた小説教室で小説執筆にはまり、2016年、大学時代に寝たきりの祖父を家で看取った介護体験や医師として多くの死を見届けた体験をもとに終末期医療や在宅医療を題材とした『サイレント・ブレス』で小説家としてデビューです。
33歳で医師を目指して55歳で小説家デビュー。それだけで彼女の挑戦というか、小説からは、感動と勇気。そしてナミダをもらい、著者の経歴を知ることにより自分にとても刺激をもらえる1冊です。
とてもおすすめできる本書なので、皆さんにぜひ読んで欲しい1冊です。読んで私と酒の席で本書について語り合いましょう。笑
11月7冊目_2024年205冊目