いのちの十字路 / 南杏子


 何年か前にとてもハマって読んだ南杏子さん、久しぶりに手に取りました。むかし読んだもので、とても印象的だったのは「いのちの停車場」です。映画化にもなりましたが、予告編を見るだけで涙をもらえるレベルでありました。

 本書は読んでからアウトプットしようと思い、いろいろ調べていて気づいたのですが「いのちの停車場」の続編という形になっています。「いのちの停車場」で主人公が田舎に帰るきっかけになった、そしてそれを追いかけていった若者が主人公となっている物語です。

 医師国家試験に2回落ちるも、3回目に合格し、主人公は金沢のまほろば診療所に戻ってきた。そして本書は前書同様「在宅医療」をテーマに語られています。

 娘の手を借りず一人で人生を全うしたい母。母の介護と仕事の両立に苦しむ一人息子。末期癌の技能実習生。妻の認知症を受け入れられない夫。体が不自由な母の世話をする中二女子。

 それぞれの家庭の事情に寄り添おうとするけれど、不甲斐ない思いをするばかりの主人公には、介護していた祖母を最後に「見放した」という後悔の念が心の奥底に潜んでいた。

 本書を読んだあと、すぐに「いのちの停車場」も読み始め、現在半分くらい読んだ感じだろうか。読み終えてからだと本書のアウトプットするのは、本を読んだあとの新鮮さがかけるような気がして、もう大分酔っ払いだけれど、どうしても書こうと思い、キーボードを叩いています。笑

 私の父もそうだったが「家で死にたい」という老人は多い。しかし、たいていほとんどの人は「病院」で死を迎える。

 本書がテーマにしている「在宅医療」では、そんな希望を叶えてあげることはもちろん、医師と患者というビジネスライクな関係を、とても人間味あふれる関係に変換するというか、お互いメリットがるような「WIN‐WIN」の関係を構築できるようなそんなドラマすら感じさせてくれる内容です。

 前書では登場しなかった8050問題的なボケに関するネタも登場しています。うちにも「要介護_1」の志村けんの「ひとみ婆さん」のような老人がいるので、とても切実にリアリティを感じさせてくれる本書でありました。笑

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