投資依存症―こうしてあなたはババを引く / 森永卓郎


 現在の株高はバブルであり、早く投資をやめて引き上げることを推奨していることは、著者の本を何冊か読んだので、知っていましたが本書はその分野に特化した内容になっています。

 資本主義はもう行き詰っており「末期状態」といってよい。その起因する4つの材料が「許容できないほどの格差」「地球環境破壊」「少子化」「ブルシットジョブの蔓延」だという。ブルシットジョブがわからない人は、ググってください。笑

 なぜ誰も気づかないのか。メディアで触れることがないのか。それは、エコノミストや評論家は、バブルを認めると商売にならないため、煽り続ける。1989年のバブル崩壊時も、多くの専門家が崩壊を予見せず国民を投資中毒に導いた。政府の新NISAもその一例で、少子高齢化や社会保障の不安により国民を投資依存にさせているのだという。

 著者は「バブル崩壊によるリスクを今一度冷静に考えるべき」だと説いています。投資はギャンブルではない。よく言われる言葉ですが「投資の本質はギャンブルである」と本書では断言しています。

「ギャンブル」はゼロサムゲームで、全体のパイは増えないが、「投資」はプラスサムゲームで、長期的に見れば株価や。経済はが上がり続ける。そんなことはよくいわれることです。

 しかし、強者の企業が、弱者の企業から奪い取る事実も存在する。大企業が利益を上げるため、中小企業がその犠牲になっている側面も存在するのはたしかです。株で儲ける人が入る分、損をする人がいるわけで、ゼロサムゲームの一面も持っています。

 株価は下がってもまた上がる。長期的に見れば下がった歴史など過去ないのだから、持ち続ければ必ず上がる。これも様々な本に書かれていることですが、著者は否定しています。それは過去の歴史がそうだっただけで、これからの局面はそうならないかも知れないと予想しています。

 前述した「資本主義の末期状態」であることを、もっと理解して、とにかく投資をやめてくださいとそんな内容になっています。

 私もたくさんの投資系の本は読みましたが、この手の内容は初めてのような気がします。ワタクシもご多分に漏れず、投資信託や株くらいは少し持っていますが、これからの接し方に関して参考にしていこうと思います。

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