国民は知らない「食料危機」と「財務省」の不適切な関係 / 鈴木宣弘,森永卓郎


 最近のニュースで米が買えないとか、スーパーに売っていないとか、高くなったとかそんな報道が多い。南海トラフ地震の臨時情報が出されたことによる消費者の「買いだめ」行動が品薄に拍車をかけたと言われています。

 臨時情報だけでこの様な事態になってしまうのに、世界で有事が起きた時はどうなるのだろうか。餓死する人すら出てくるのではないか。そんなことを考えさせる本書です。

 ロシアのウクライナ侵攻が始まってから、小麦製品が上がったのはみなさん感じていることでしょう。ラーメン屋さんの値段が上がった感じは私も体感しています。

 ウクライナは有数の小麦輸出国であり、その輸出に影響が出たため世界の小麦の値段が上がったと言われています。高くなっても買えるうちは手に入れることができる。しかし、買えなくなったらどうするのか。

 世界有数の小麦の生産国のインドは、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を背景に価格が上昇していた小麦の輸出を去年から禁止していましたが、2023 年7月、国内価格の安定を目的にコメ輸出を部分的に禁止した。この措置は各国に以下の影響をもたらすと考えられています。日本の現在の状況にも関係しているのかもしれない。

 日本の食料自給率は37%といわれています。東京は0.5%程度しかないといわれています。本書では世界で大きな有事がおきたら、東京や大阪の人は真っ先に餓死すると書いてありました。

 グローバル資本主義では、利益を追求するために、とにかく安ければ遠くからでも食料を仕入れ、商品に転換しようとする。

 フードマイレージという言葉があります。食料の輸送にかかる環境負荷を数値化した指標ですが、日本は、このフードマイレージの数値が極めて高い国として知られています。自分で作ると高く付くので、遠い海外からの輸入に頼っている現状です。

 世界の何処かで何か有事があったとき、近くの国はどんな行動に出るのか。インドがしているように、自分の食料を確保しようとすることでしょう。食料自給率200%の北海道でも、東京に送らないで自分のところに確保しようとするでしょう。

「ガンディーの経済学」を引き合いに出していました。S D G sの目標は格差をなくし地球を守ることだが、世界はこの理念とは真逆の方向に進んでいる。貧困や格差もなくす「隣人を助ける」原理こそ、これからしていかなければならないという。

 本書では「国民全農民」になることを勧めています。自分で食うものは自分で作れ。それがこれからは大事だと説いています。自分で作れないものがあっても、作ったものがあれば交換できる。そしてコミュニティーは強固になっていく。

 三橋貴明はこれから何に投資したら良いかと問われたら「農地」と言ったという。もっと「畑ごっこ」頑張ろうと、奮起させてくれる一冊でありました。

9月2冊目_2024年152冊目