日本車は生き残れるか/桑島浩彰, 川端由美


 これからのビジネス構造変化を読み解くため、自動車産業を知ることにより、少しでも理解を深めることができた。本書を読んで感じたことはそんな感じだろうか。

 内燃エンジンのガソリン車は廃止する。そんな言葉を発する政治家がいる。そんな世界になったら、日本の経済は大丈夫なのか。

 内燃機関エンジンに詳しいエンジニアと、自動車産業をよく知る2人の著者。アメリカ、欧州、中国の自動車産業で現在どんなことが起きているのか。

 トヨタを代表とする日本の自動車産業。改革の波に乗り遅れているのではないか、そんな嘆きの言葉を言う人が多い。実際はそうではないことを感じさせてくれました。

 電気化だけが強調されがちだが、自動運転とコネックテッドがとても重要になってくるフェーズに突入しているという印象だろうか。

 100年に1度の大変革と言われるCASEの波。C:コネクテッド、A:自動化、S:サービス、E:電動化。そんな世界を目指し、いい車を作り、売るだけでは淘汰されるという、そんな世界に近づいている。

 トヨタが言った「自動車を作る会社からモビリティカンパニーへ」という言葉。車というハードはきっかけでしか無く、それを利用したソフトを提供することが、まさに日本車が生き残れるような世界を展開できるのではないか。

 パソコンやスマホの世界では、OSを支配したものに富が集まるというそんな世界がある。パソコンではWindowsとMacOS。スマホの世界ではAndroidとiOS。

 フードテックの本を読んだが、その中に「キッチンOS」という言葉があった。コントロールする世界を支配することにより、富を集めることが出来ることは、パソコンやスマホの世界でも実現しているという事実がある。

 CASEの「CとS」そんなことをうまく融合できれば、自動車産業も集約できるのではないか。トヨタのいう、「モビリティカンパニーへ」という言葉。様々なことを知ることにより、スマホやパソコンの世界でできなかった、世界を征服して実現するデファクトスタンダード。是非、トヨタには頑張って欲しい。そんな風に思わせてくれる本書でありました。

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