地方創生の罠 / 山田順


切り口は地方創生から始まりますが、

内容は多岐にわたっています。

「ゆるキャラ」「B級グルメ」批判から始まり、

「ふるさと納税」「プレミアム商品券」

「地方創生」より「地方消滅」の準備をするべき。

同窓会に補助金を出してどうする。

「地域おこし協力隊」はミスマッチだらけ。

「新幹線・リニア新幹線が地方を滅ぼす」という章がある。

大都市圏につながることでかえって衰退する。

盛岡に新幹線が来た例を取り上げていた。

盛岡に新幹線が来たことで、人口は増えたのか。

昔は泊まりでなければ来れなかった人たちは日帰りになる。

盛岡にも富裕層はいる。

そんな人達は、御用達だった川徳を捨て、

銀座に行く。笑

新幹線ですらそんな状況を招く。

それっがリニアが実現したら、大阪や名古屋など、

支社を置くことすら必要がなくなる。

まさに「ストロー現象」

ますます地方の経済を衰退させて行く。

宮古から盛岡まで1時間で行けるようになった。

それに対して喜ぶ人もいれば、

そうでない人もいるのだろう。笑

私が関西人で岩手に旅をするとしよう。

旅の拠点は必然的に盛岡になる。

往復2時間で行けるなら、宮古に泊まる選択肢は消えるだろう。

本書では田中角栄に代表される、

公共工事のバラマキをだいぶ批判し、

建設業を営む私は、気持ちは暗くなりますが、

田舎は田舎らしく生きること。

衰退に対し反することではなく、

それを自然に受け止めて行くことこそ、

逆に衰退を防げるのでは無いか。

そんなことを考えさせてくれる内容でありました。

この手の本には必ず登場する紫波町。

本書には全く登場しませんでした。

人口が減るなら、公務員も減らさなければダメ。

そんな論理を初めて見たような気がします。

確かに、真っ当な論理です。笑

31 th in June / 180 th in 2023