低欲望社会:「大志なき時代」の新・国富論 / 大前研一


安倍晋三首相、日本銀行の黒田東彦総裁、

あるいはノーベル賞学者のポール・クルーグマン教授や

FRB(米連邦準備制度理事会)のベン・バーナンキ前議長も、

金利を下げ、マネーサプライ(通貨供給量)を増やせば

GDPも大きくなるという20世紀の経済学を信奉している。

 しかし、もはや日本にそれは通用しない。

そのことは「マーシャルのk」の推移を見れば明らか。

マーシャルのkとは、

一国の経済活動を表わすGDPにとってマネーサプライが

適正水準にあるかどうかを判断するための

指標で定数と思われているのだが、

その値が日本はどんどん上昇している。

これはすなわち、政府がいくらお金を突っ込んでも、

少子化・高齢化した日本の場合、

昔のような効率では市場に吸収されない。

しかし、安倍首相や黒田総裁はそれが理解出来ていない。

28兆円もの経済対策を打ち出したり、

国債を大量に買い入れ市場に現金を増やしたり、

マイナス金利政策を導入したりしている。

これは人々に「欲望」があった20世紀の経済学。

現在の日本はいくらお金を供給しても、

それが吸収されない「低欲望社会」であり、

その根本的な原因は「将来に対する不安」にあり、

そんな現実を理解しなければならないという。

日本の労働人口は毎年40万~60万人というペースで減っている。

これだけの人口減少を移民で

補おうとするには限界があると著者はいう。

20世紀の企業にとって成功の鍵は

「人、モノ、カネ」だった。

今は、モノもカネもあふれている。

そんな21世紀における事業成功の鍵は、

「人、人、人」だという。

それも「尖った人間」が何人いるかが重要。

自分は尖っているとは思えませんが、

尖って嫁に怒られることがあっても、笑

「21世紀の事業成功に必要」だと、

言い訳したいと思います。笑

20 th in June / 169 th in 2023