ライフネット生命の創業者で
歴史に造詣の深い出口治明氏が案内人となり、
歴史に埋もれた戦前の起業家たちの
人物像を紹介しています。
取り上げられている人たちは、
単なる成り上がりではなく、社会に還元することはもちろん、
文化芸術への投資を行う反面、
子孫に財産を残なかった人たちだという。
映画興行を始め、パトロンとして孫文を支え続けた梅屋庄吉。
パリの社交界で人気となり、フランス政府から勲章を受けるも無一文で帰国した薩摩治郎八。
戦争をビジネスチャンスにして多くの足跡を残した、ホテルオークラ、大倉ジャンプ場の、大倉喜八郎。
インバウンドを予言していたのか、吉野の桜を買い戻した土倉庄三郎。
「兜町最後の相場師」と呼ばれた山崎種二。
「真珠王(パールキング)」と呼ばれた御木本幸吉。
炭の小売から始まり様々な事業を成功させ、ふるさと島根県の文化発展のため「足立美術館」を創設した足立全康。
真面目に質素倹約という経営者のイメージはいつから出来たのだろうか。
日本人は自由にのびのびとビジネスを楽しんで、
そしてド派手に稼ぎ、ド派手に使っていた。笑
著者はこのような言葉で締めています。
七人にそれぞれの形で共通していたのが、まさに物事を学ぼうとするこの意欲、世界に対する好奇心であったと僕は感じた。彼らの人生に触れていると、「もっと、もっと」という声が聞こえてくる。もちろん意欲と頑張りがあるからといって、人は必ずしも財を成すことができるとは限らない。いくら頑張ってもどうにもならないことが世の中には山ほどあるから、僕は「頑張ればなんとかなる」という考え方は大嫌いだ。しかし、それでも彼らの人生を見ていると、「もっと、もっと」と何事かを学び、それを人生の糧に代えることなしには、大事を成し遂げることはできないのだという気持ちになる。
また、彼らは日本の近現代史のなかでは、あまり名前を知られていない人たちでした。彼らはその個性の強さ故に成功した反面、自身の事業を次世代、次々世代に残していくことにはあまり関心がなかったように見える。
財閥や政界といった歴史のメインストリームから離れた場所を生きた彼らは、一方で資本主義の勃興期に世の中に対して大きな影響力を持ち、自らの持つお金を夢へと変えた人々だと思う。明日の日本を担う若い皆さんにも、ぜひ、この気持ちを共有してほしいと願っている。
実際、私も本書で紹介されている7人は知りませんでした。笑
足立全康が創設した足立美術館。
米国の日本庭園専門雑誌『ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング』が行っている日本庭園ランキングで、初回の2003年から「20年連続日本一」に選出されています。映像で見ても美しすぎるようです。笑
足立全康が庭を作る際、陣頭指揮している様子が
You Tubeで見ることが出来ます。
機会があったらぜひ、
訪れたい衝動にかられました。笑
15 th in June / 164 th in 2023