著者はフリーランスのライター。
1963年生まれ、1999年に結婚。
家族は1つ年下の妻と、子どもが3人。
神奈川県相模原市に5人暮らし。
本書は2014年刊行。
以前は、執筆業の収入だけでも一家5人で何とか生活することができ、2003年頃にはささやかな貯金ができたこともあったという。
ライターとしての生活が成り立たなくなり、様々な仕事に手を出して行く。
「治験バイト」の記述はとても興味深い。
治験バイトには参加条件があるものが多い。
太っている。痩せている。
コレステロール過多など。
その治験バイトに参加するために、自分の体を改造するのだという。
貧乏になると、どんなことが起こるのか。
貧乏になると、どんなことで困るのか。
貧乏になると、どんなことに腹が立つのか。
とても興味深く読ませて頂きました。笑
一番、取り立てがキツイのは行政だと言う。笑
税金を滞納していると、最初は何度も督促状が来て、その後、今度は差し押さえの通知がくる。しかし著者は、差し押さえられる財産などどこにもない、まったく見当たらないので、とりあえず何もしないでおいた。
また、通常、差し押さえという行為はそう簡単にできるものではない。差し押さえなどというと、いきなり自宅に裁判所の係官がやって来て、手あたり次第に差し押さえを示す書類か何かをペタペタと貼り付けるようなイメージを持っている人がいるかもしれない。しかし、現実にはそんなことはまずない。「民事執行法」という法律によって、家財道具などの生活必需品や、仕事に必要な物品や備品は、差し押さえてはいけないことになっているのだ。
直接職員が来ない場合でも、支払えない税金をそのままにしておくと、恐ろしいことが起きる。
ある日、入金されるはずの夜勤の給与についてATMで確認したところ、明らかに金額が足りなかった。驚きあわてた著者は、通帳に記帳して何があったのかを確認した。
すると、そこにはカタカナで明確に記されていた。
『サシオサエ』
著者の夜勤の給与は、たかが9万円ほどに過ぎないがそこから、5万500円が差し押さえとして差し引かれていたという。※本の表紙に通帳の写真が載っています。
役所というのはやるときにはやる。税金とは、国民の生活を犠牲にしても、何が何でも回収して当然のものだと考えられているのだと痛感したという。
私も「差し押さえ」などは、会社が潰れたときに、誰かが来て札を貼るようなものしかイメージしていなかったが、公共料金の引き落とし口座から、入金を見て勝手に引き落とされるなんてイメージはありませんでした。笑
誰もがいつか陥るかもしれない貧乏生活。
経験しない限り、その心情のほんとのところはきっと分からないと思いつつ、お金があること、水道や電気やガスが当たり前に使え、取立てもない自分の生活は幸せなのかもしれないことを、痛感させてくれました。
いろいろな人もレビューで書いていましたが、こんだけ大変な思いをしているのに、奥様の収入について全く触れていません。笑
意図的に伏せているのか、公言できない収入源なのかわかりませんが、その記述が無いだけでリアリティに少しかける部分はありました。
この本はKindleUnlimitedで読みました。
KindleUnlimitedは読んだページ数に応じて、著者に配分があるらしいので、
著者の晩酌代の足しにはなったと思います。笑
11 th in April / 82 th in 2023