太陽の季節/石原慎太郎

ここ最近5冊ほど、石原慎太郎関連を読んだので、

必然と興味が出てきたデビュー作。

1956年(昭和31年)第34回芥川賞を受賞。

なんと67年前の作品です。

当時の解説にこの様なことが書かれていた。

「太陽族」とか「ドライ」とか言う新語が生まれ「慎太郎がり」なる髪型もできるほど、石原と『太陽の季節』の評判は日本全体に行きわたった。「太陽映画」ブームは、社会問題と化し、青少年を悪に導くものとしてPTA族はいっせいに攻撃し、映倫規定の強化というところにまで発展した。無名の学生作家の作品がこれだけ騒がれたことは、日本文学史上空前のことである。

原作を読み当時の騒ぎが想像できるような気がした。笑

高校生の津川竜哉はボクシングと酒と女と喧嘩に明け暮れる日々。

仲間たちと銀座に出た竜哉は英子と出会い結ばれる。

竜哉と英子は愛情を確かめ合うが、竜哉はだんだん英子のことが煩わしくなってくる。

竜哉は兄の道久に英子を五千円で売り飛ばす。

英子は竜哉の子供を身ごもっていたが、竜哉は中絶を要求。

しかし気が変わり出産を許すが、英子は死ぬ。

本書にはボクシングという言葉は登場しない。

「拳闘」です。時代ですね。なにせ67年前です。笑

こんなハチャメチャな高校生がいるのだろうか。

石原慎太郎の幼少のエピソードを別書で読みましたが、

だいぶカブるところがあったので、

多少なりとも実際にあったことを元に書かれているのでしょうね。

本書は5つの短編集でその一つが「太陽の季節」

別の本で読みましたが、「一晩で書き上げたが、清書に3日かかった」と書いてあった。それくらい短期間でかけるのだから、自分に起こったエピソードが大分入っているんでしょうね。笑

本書の中で友人と女を見つけに行く時、交わす言葉があった。

「処女撲滅運動バンザイ」

67年前にこれですか。笑

そりゃ〜PTAも騒ぐでしょう。

映画化され主演したのは長門裕之と南田洋子。

この二人はおしどり夫婦で有名でしたね。

この映画に石原裕次郎はちょい役でしか出ていません。

石原裕次郎が初主演したのは「狂った果実」

原作、脚本ともに石原慎太郎。

執筆前から映画化の打診があり、弟を主役で使う条件で了承。

原作ができる前から映画化が決まるなんて、

どれくらいの盛り上がりなのか想像できますね。

主演石原裕次郎の相手役は津川雅彦。

この配役もパーティーで見かけた長門裕之の弟を

慎太郎が抜擢したと言う。

長門裕之の弟なのに『津川』??

太陽の季節の主人公から取った名字なんです。

全く、小説の話でなくなってしまいましたが、

続けて何冊も読むと、いろんな知識が相互に絡み合って、

非常に楽しいものです。

もう、亡くなってしまいましたが、

大分、石原慎太郎に詳しくなりました。笑

16 th in February / 42 th in 2023