誰もが名前を知っている日本の構造物。
黒部ダム、明石海峡大橋、関門海峡トンネル、新幹線や高速道路など。
日本の土木業界とそこで働く人々の心を愛した作家、田村喜子。
岩手県で言えば「宮野裕子」のような人なのか?笑
明治から昭和にかけて活躍した20人の土木技術者たちの物語を、著者の死後も読みつがれたが、忘れられつつある「土木のこころ」を今こそ伝えたいと、復刻された本書。
京都に琵琶湖の水を引く話とか。
九州と本州を海の底で結ぶ話とか。
難境に挑む鉄道技師の誇りの話とか。
現場を指揮するトビのなかのトビの話とか。
命をかけた黒部ダムの話とか。
川と水を知り尽くした河川技術者とか。
現場の命を支える安全な足場とか。
私は建設業界の人間なので、様々なエピソードや歴史を知っているつもりです。それでも知らないものも数多くあり、土木に生きる人間として誇りやロマンを共有出来る本書でありました。
私も現場を見ている時は、やりがいや達成感に伴う充実感など、とても有意義で社会の歯車になっているという誇りを持っていた。
その反面、ワタクシ建設会社の経営者でありまして、ロマンや達成感のある仕事があれば、勿論良いのだけれど、マネタイズを考えると、なかなか上手く行かない実情もあったりする。
企業として継続できなければ、本書で語られるロマンたちも語り継がれることも出来ないだろうし、語り部の生活を支えることも出来ないだろう。
ロマンに感動する裏にある現実はどうなのか。
自分の気持ちは邪心だらけで、汚れているのでは無いのか。
感動はもちろんさせていただきましたが、
同時に「自己嫌悪」
与えてくれる本書でありました。笑
17 th in November / 322 th in 2022