福島第一原発事故により、牧場の放棄と家畜の殺処分を命じられた農家のドキュメンタリーです。
テレビでは絶対紹介出来ないであろう、悲惨な写真がたくさん紹介されています。それらを見るだけで、悲惨な現実がひしひしと伝わって来るようです。
経済的価値のない牛を生かし続ける意味があるのか。生かしたい酪農家と、処分を要請する行政。
家族のように育てた牛を見捨てることは許さなかった。決断したのは、なんとか牛を生かし続けること。その苦しむ様子が赤裸々に描かれております。
「原発一揆」は牧場主本人の言葉だという。
一揆といっても暴動を起こすわけではなく、
言論による実力行使。
敵は、国と東電と放射能。
私の印象では一揆の首謀者はたいてい最後、打ち首か切腹となる。
今の時代だから、もちろんそんなことは無いだろうが、
本書は戦いの最中で終わっています。
ネットで調べると、もう活動はしていない様だし、どんな結末なのかもイマイチわからなくて残念です。何か、違う書籍でもあったら読んでみましょうね。
この様な家畜を扱う本を読むといつも思うことがある。
犬や猫は可愛いというが、牛や豚は食う。
魚は捌くが、4本足は捌けない。
経済的に価値の無くなった牛を育て続けることを否定する気も無いし、ベジタリアンになりたいわけでもない。
「都合のいいところに線引する人間」
愚かなのか、身勝手なのか。
そんなことを思わせてくれる本書でありました。
3 th in November / 308 th in 2022