相続レストラン/城山真一

よくこんな設定を思いつくものです。前科のある元税理士がウェイターを務めるレストラン。相続の相談に乗ってくれるということで評判になる。元税理士のほか、元刑事や元司法書士のシェフなど。少し、ツッコミどころ満載ですが「相続」をテーマに様々な知識や少しミステリー的な要素もあったりと、とても楽しませてくれる1冊でありました。

「相続」と聞くと普通の人は、財産がある家しか関係ない。自分には関係ないと思いこんでいる人も多いかもしれません。しかし「借金」も相続の対象であると言うことを忘れてならない。笑

レストランに相談しにきた客には沢山の財産があった。しかし沢山の借金もあった。そして隠し子もいた。そして遺言もあった。もうグチャグチャして、ミステリーになっていきます。まさに「相続エンターテーメント」

2時間ドラマの様な展開で、見事なハッピーエンドです。笑

「相続」など人生で何回も経験するものでは無いので、あまり普段考えるものでも無いし、深く知ろうとするのは実際相続する時になってからでしょう。

しかし、本書を読むことで相続について、深く知れることは結構あるので相続の指南書的に読むと楽しいかもしれません。

本書で知った豆知識をメモしておこうと思います。笑

「相続」は仏教語

仏教では、すべての現象は諸行無常で、変化して一瞬一瞬生滅すると説きますが、その流れは継続するという。ここにローソクの火がある。その火自体は、一瞬に燃えつきてその直後に別の火が燃えて、それが絶え間なく連続するから、一つの火として燃えているように見える。つまり非連続の連続。

『相続とは、仏教用語の「相(すがた)」を続けること』を語源としており、「受け渡す方の意思が、確実に受け継がれること」を意味する。 今あるものをつまびらかにして、しっかり次へ引き継ぐことこそ大事。

本書では「加賀野菜」が受け継がれてきたことを「相続」にたとえて紹介されていましたが、お金や財産が云々などと言う前に、先祖の思想や志を、次の世代に受け継いで行きたいものですね。

29 th in October / 297 th in 2022