ヤマケイ文庫 ヒグマとの戦い/西村武重

大正から戦後まで、北海道の根室のあたりにいた狩猟の達人の手記。

それをお孫さんが再編成してまとめた内容になっています。

銃でヒグマを捕りそれを生業としていた背景や狩猟のエピソードなど。

ヒグマを仕留めるシーンにおいて、自分の心情や体における変化の描写がすごく興味深い。

その時々に訪れる狩人の、毛が逆立つ感じや発汗の様子など。

私は経験したことがない感じですが、とても臨場感を感じ取れる印象です。

仲間がヒグマに襲われる描写も何回か登場します。

「ヒグマ=恐ろしい」と言うことを思う反面、

人間がヒグマを「虐殺」しているのは事実です。笑

最後に解説でこんなことが書かれていました。

人間に撃たれて死亡し、人間に食べられるクマは年間3〜5000頭ほどである。クマのメニューに人間は入っていないと書いたが、人間のメニューにはクマがしっかり入っている(よい個体の肉はとてもおいしい)。

そんな人間に「凶暴」と思われていると知ったらクマはどう思うのだろうか。
私は田舎に住んでいるし仕事柄、山奥に行くこともあるのでクマを見かけることが普通の人より多いかも知れない。

そして怖い目にあった時はありませんが「山奥=クマの恐怖」。そんなイメージは少なくとも持っている。

しかし本書を読んでイメージは少し変わった。

クマ自身、自分が殺されるかも知れないと必死になった結果、人間を襲うものであり、最初から人間を襲うイメージは持っていないのでは無いか。

「クマのメニューに人間は入っていない」

なのに、人間は熊汁を喜んで食う。笑

今度、熊汁を食うときは山の恵みに感謝して、頂こうと思います。笑

23th in August / 234th in 2022