破綻からの奇蹟 〜いま夕張市民から学ぶこと〜/森田洋之

夕張市が破綻した。

行政が破綻するという事実に対し、

実際はこれから日本のドコで起こってもおかしくないことなのに、特別視して見下したような報道が多い印象が私にはありました。

夕張市唯一の総合病院が閉鎖したにもかかわらず、

死亡率や死亡者数は変わらない。

そして医療費は削減された。

病院が無くてもなんら問題なし。

むしろ地域が元気になったというそんな記述が多くみられます。

医療を全否定するつもりはもちろんありませんが、

延命治療について非常に考えさせてくれるそんな1冊です。

医療は進化しているのに、

なぜ、医療費は増え続けるのか。

技術が進化し競争原理が働けば、

医療費は減り続けるのが自然な流れであるのは、誰でも予想できることではある。

しかし、そうではない。

夕張市では死亡率は変わらないが「老衰」が増加したという。

本来、自宅で過ごせるはずの人間を無理やり病院に入れる「社会的入院」

それが医療費を増加。それどころか、患者自身、これから生命を終えるものにとって、不幸せを与えている。

管を体に何本も入れられて、自分で食べ物を食べられない状態で、生命を維持したいそんな人間などほぼいない。

患者の希望を尊重するより、医療の経済を重視しているがゆえ、医療費は増え続ける。財政は圧迫する一方。そんな事を著者は説いています。

私の父は何年か前になくなりましたが、

「延命治療は社会の悪だ」そんな事を説いていた。

逝去する前、半年、入院生活をしたが、本人の希望通りもっと早く逝かせればよかったと私は悔いている。笑

夕張市において、財政は破綻した。

高齢者はどんどん増えて高齢化率世界一。

医療費が増え続けているという課題が日本の中で、

医療は縮小しても大丈夫なのではないか?

むしろ縮小していくべきナノではないか。

そんな事を考えさせられる内容でありました。

医療従事者に限らず、国や自治体の福祉、医療。

そして財政を考える人には是非読んで欲しい。

そんな1冊でありました。

20 th in June/179 th in 2022