いないことにされる私たち 福島第一原発事故10年目の「言ってはいけない真実」/青木美希

政府が発表する避難者4万人。
市町村が集計する避難者7万人。
カウントされない人が山ほどいる。
避難者がいなくなることが復興なのか。
意図的に数字を下げているのではないか。
被災者の実態を故意に隠蔽し、終わったことにしたいのか。

震災で避難に関連した自殺するものも多くいる。
2017年7月。打切られる住宅提供。
生活するため父子が別れて暮らし、
父が居なくて寂しいと自死する息子。
自分のせいだと後追いしようと精神を病む父。
働かなければならないのに働けない。

静岡県には未だに出荷制限の掛かるキノコが出ると言う。
政府は規制を緩和するしか方法が無い。
山でとったキノコや山菜など、検査をしないで口に入れる。
静岡でそんなキノコがあるのに岩手は大丈夫なのか。

原発は安全だと信じていた世代より、
原発事故を知ってしまった世代の方が責任が重大だと言う。
今まで「原子力村」で培われた「安全神話」など誰も信じない。

うちは違う。うちは大丈夫。東京電力とは違う。
そんな論法で原発を再稼働する九州電力。
一体何が違うのか。


先日読んだ「原発難民」でも感じましたが、
故郷を愛する気持ちは皆同じなのに、
「帰りたい」と「帰りたくない」で分断させられる避難者たち。
それらが原因で自ら絶たれる命。なんとも切ない。


宮古市も震災で被害を受け土地を離れた人もたくさんいますが、
多くは宮古市内に残っている。
仮に震災直後に半径20km圏内が強制避難。
そんなことになっていたら。
会社のある場所は20km圏内から少し外れるだろう。
避難するのか。しないのか。
家族や社員と意見は分断するだろう。
すべて自費で対応しなければならないか。
会社はどうなるのか。


戦争に向き合うことを避けたように、
原発に向き合うことを避けようとする。

忘れてくれるのを願っているのでは。
そんなことを考えさせられる。

著者に読者から届く一番多い言葉は
「伝え続けてください」

知れば知るほどハード面主体の復興がメインの岩手と違い、

福島の震災復興は終わっていない。

終わっていないどころか廃炉スケジュールすら立てれない。

未だに事後の概要すらつかめていない。

本当に大丈夫なのか。日本。

そんな風に考えさせられる。

大変勉強になりました。